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私は深くお辞儀をしてから、ゆっくりと頭を上げて尋ねた。 「ワタクシはちょっぴり不思議なぬいぐるみです。貴方の名前を教えてくれませんか?」 彼女は目を丸くしたまま動きを止めている。 ……いきなり名前を聞いたのは失礼でしたでしょうか。 「できればこちらから名乗りたい処なのですが、ワタクシにはまだ名前がありません」 微動だにしない彼女。 「よろしければ貴方に名前を付けていただきたい」 彼女は私を凝視している。 もしかしたら、……また捨てられてしまうかもしれない……。 そんな不安が頭を過ぎった。 不意に彼女が両手で私の体を持ち上げてくる。すると瞳の色が一瞬にして変わり、キラキラ輝き出した。 「うわぁ〜。すごいすご〜い!しゃべってるっ!」 「あ、あの……」 私を高く持ち上げて部屋の中でくるくると回りだす。ヒラヒラした彼女のミニスカートがふわりとめくれ上がる。 ぴたりっと止まり、 「わたし、ミュウ!」 ……突然見せた満面の笑顔に驚いた。 ですが、まさかそれは本名ではありませんよね? 「いえ。できればフルネームを……」 「ミュウミュウ!」 さっきと変わらない無垢な笑顔をこちらに向けてくる。 ……この家に上がる時、【愛夢】と書かれている表札を見たことを思い出した。 まぁ、いいでしょう。後で証明書か手帳か何かを盗み見てやれば済むことです。 「……こほんっ、ではMsミュウさん?ワタクシに名前を付けてはくれませんか?」 「ぬいぐるみちゃん、お名前ないの?」 「ハイ」 私が言うと考える様なそぶりを見せ、 「ん〜と、じゃあナイト!」 言われるがままにされているのもシャクだと思い、 「それは何か特別な意味があって言っているんですか?」 「ううん、夜にみつけたから」 ……なんて安易なっ! もう少し考えてはくれませんか!? 「……イヤ?」 「いいえ」 こんなちいさな女の子にそれは無理なお願いですね。潔く諦めましょう。 「じゃあ決まり!キミは今日からナイトだよっ!!よろしくね。ナイト〜♪」 こうして私は彼女の【ナイト】となった。 結局、夜が明けても彼女の家族は帰っては来なかった。 私は何日かをこの家で過ごした。 彼女が私の名前を呼ぶ。 彼女が私を抱きしめる。 彼女が私の頬にキスをする……。 ただそれだけのことなのに、 ……とても嬉しかった。 きっと幸せってこういう気持ちかもしれません。 ……だが、 そんなささやかな幸せも、長くは続きませんでした……。 ◆つづく◆ |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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なんか、泣きそうになりました。とてもいい物語ですね。(^v^) |
みすず 2007/05/12 07:02 |
感動してもらえて嬉しいです。感激です! |
美羽 2007/05/12 17:42 |
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